工場の中を行く岳南鉄道

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                      (岳南原田駅から)
静岡県富士市は多くの製紙工場があり、昭和50年から平成5年まで工事関係で何度も大昭和製紙㈱(現:日本製紙)に赴任した。その工事施工の時は一般乗客を乗せたかわいい電車が大昭和製紙の構内を走っていた。岳南鉄道の電車が懐かしく写真を撮りにいった。岳南鉄道は吉原駅から岳南江尾駅までの10駅である。

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                     (始発駅の吉原駅)
富士市は紙の原料となる三椏が栽培され、紙を作るのに必要な大量の工業用水は富士山の麓から流れてくる。そもそも富士は江戸時代中頃から「駿河半紙」の生産地である。それが明治以降の洋紙への転換で、さらに工業用水が豊富にあるこの地が、製紙の一大工業地帯として栄えた。ちなみに 現在の紙の原料はユーカリなどの木を小さくしたチップが使われている。

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                    (吉原駅ホームからの富士)
昭和40年代の富士市には約150社の製紙工場があり、工場から毎日200トンのスラッジを含んだ廃水がたれ流された結果、歳月えへてヘドロと化した。その33%が大昭和系からのものとされた。ヘドロにはカドミウム、鉛、水銀が含まれ、発酵分析した硫化水素での中毒、漁貝類による食虫毒事件も発生した。現場事務所のそばを流れる「沼川」には、ブクブクとヘドロから泡が吹きだしたり、骨の曲がったボラが泳いでいたりした。当時富士市は、「公害のデパート」と呼ばれ、映画「ゴジラ対ヘドラ」の映画が製作された。

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                 (岳南鉄道からの富士)
公害対策で色々な機械や設備が投資され、現在は綺麗な川や田子の浦港になっている。

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                    (工場から出てきた岳南鉄道)
製紙工場の設備が先に出来て、後に工場の敷地を縫うように電車が走るようになったか、疑問に思うが電車が先である。レールの上にパイプラックを設置して設備間の配管を敷設している。レールの上にパイプラックを施工する工事は難しくないが、電車が走る上をパイプラックを据付けて配管敷設を労働基準局が良く許可したと思う。

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                       (パイプラックの下を行く)
大昭和製紙は「齊藤一族」と呼ばれる親族会社である。歴代の社長は齊藤家の出身である。その中でも❛齊藤了英❜は「東海の暴れん坊」と言われて名物社長であった。
 斎藤了栄名誉会長は平成2年画家・ゴッホの「医師ガシェの肖像」を125億円、ルノワールの「ムーラン・ド・ギャレット」を119億円で落札して話題になった。その際「日本間でみるルノワール、ゴッホはいいよ。死んだら棺桶に入れるつもりだ。」と言って「文化遺産を灰にするつもりか」と英仏の美術界から非難を浴びた。

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                      (工場のパイプラックの間を走る)
齊藤了英名誉会長はスポーツとの関わりも多く、大昭和製紙硬式野球部を創設して、3度の都市対抗野球対大会に優勝している。 また 陸上競技部も創設して、三段跳びの小掛照二、ハンマー投げの室伏重信のオリンピック選手を輩出している。

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                     (岳南富士岡駅ホームからの富士)
工事を始めるときは、客先の社歴や社訓を調べてから現場に乗り込む。いろいろな会社で工事をさせて頂いた中で大昭和製紙の社歴は面白い。工事関係者には厳しいが明るく風通しの良い現場であった。
 又 私達がよく食べに行った寿司屋の奥さんを会長が熱海へ連れて行ったことを週刊誌で叩かれた時は、その週刊誌が富士市から撤去された。

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                     (田子の浦港)
「小倉百一首」に載っている「田子の浦 うち出てみれば 白砂の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」、の詩に登場する田子の浦港に シラス漁から帰ってきた漁船。港のそばにシラスの競り市やシラス街道がある。シラス街道の店舗で買ってきたシラスはスーパーで買ったシラスとは桁違いに美味しい。

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                     (左富士)
東海道を東から西に行くとき、富士山は右手に美しい姿を見せるが、富士市吉原附近は、旧東海道が内陸側に右折して北に方向転換したため、左側に富士山が見える。写真の日清紡富士事業所の依田橋交差点が左富士の地点。松の右側に旧東海道が走る。

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            (安藤広重が描いた「東海道五十三次内吉原」)
浮世絵師、安藤広重が描いた風景画「東海道五十三次内吉原」は左富士の名画。

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                     (妙法寺)
大昭和製紙・鈴川工場のそばに妙法寺がある。この寺で作業員全員と一緒に工事の安全祈願の祈祷をお願いして座禅を組んだ。正座が我慢できない人もいたが、竹刀で肩をビシッと打たれると気持ちがいい。 又 この寺は群馬県の高崎、東京の深大寺と並んび「日本三大だるま市」として「毘沙門天大際 だるま市」が開かれる。

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                      (富士に向かって龍の雄たけび)
この寺院の住職の講話は面白かった。インドを放浪している。仏教はインドで始まり中国を経て日本に渡ってきた。それに基づき、境内にはインドのパゴダの寺院、中国の龍神香炉堂そして日本の本堂が配置されたオリエンタルムードのお寺である。本殿の地下に洞窟七福神が祀られており、七福神を手で触りながら安全祈願をお願いした。

私見
※工事関係で全国の会社を渡り歩いた。その中で大昭和製紙は、正月返上で工場の切り替え工事を施工したり、5月の連休も休めない、盆休みも二日あればいい方である。しかし 大昭和製紙での数々の工事は楽しかった。








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